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H2Hマーケティング実践編 
「正義とは?・その16:
正義の構想の選択候補

「正義の二原理こそが、原初状態によって提示された選択問題への解答である」ことが証されなければならない。

そのためには先ず「当事者がおかれている情況や彼らの知識、信念、そして利害関心を考慮した上で、複数の選択候補に照らすならば、二原理に合意することが、あらゆる人が各自の諸目的を確保するための最善の方策である」ことを立証しておく必要がある。

ロールズは、原初状態にある人びとにどのような選択候補があり得るのかを提示していきます。ロールズがあげているのは以下の通りです。

A. 正義の二原理

  1. 最大限の平等な自由という原理
  2. (a) (公正な)機会均等の原理
    (b) 格差原理

B. 混成された諸構想(上のA2を他の原理に置き換えたもの)

  1. 平均効用原理
  2. もしくは、次のいずかいずれかの制約に服する平均効用原理
    (a) 一定のソーシャル・ミニマムが維持されていること
    (b) あるいは財の多寡の分布が全体としてあまり開きすぎていないこと
  3. もしくは、B2のいずれかの制約に服した平均効用原理と公正な機会均等原理との混成

C. 古典的な目的論の諸構想

  1. 古典的な効用原理(功利主義)
  2. 平均効用原理
  3. 卓越性原理

D. 直感主義の諸構想

  1. 総効用と平等な分配原理との間で兼ね合い(バランス)を図ること
  2. 平均効用と矯正(正義回復)原理との間で兼ね合いを図ること
  3. 一応の・明白な諸原理のリストの兼ね合いを(適切に)図ること

E. エゴイズムの諸構想

  1. 第一人称の独裁政治 <万人が私の利益に奉仕すべきである>
  2. ただ乗り <私はそうすることを選択しないとしても、私を除いた万人は正しく行為すべき>
  3. 一般的(なエゴイズム) <誰でも好きなうように、自分の利益を促進することが許されている>

冒頭に紹介した通り、ロールズとしては、Aの<正義の二原理こそが、原初状態によって提示された選択問題への解答である>としていますが、BやCを主張する人たちもいるわけです。

ロールズは、正の構想に付される条件について(1)一般的(general)、(2)普遍的(universal)、(3)公共性(Publicity)、(4)順序づけ(ordering)、(5)最終性(finaliy)の5つをあげています。

「正義の構想は、(1) 一般的な形式をまとい、(2)適用において普遍的である原理の集合をなし、それは(3)道徳的人格相互の対立する権利要求を順序づけるための(4)最終の控訴裁判所として、(5)公共的に承認されるものでなければならない」としています。

(by インディーロム 渡邉修也)

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